はじめてのチュウ 様々なカバーあれこれ考察 by実川俊晴 

第3弾 山崎まさよし


    赤♪と、枠で囲んだコードネーム:山崎まさよし  山崎まさよしのキー「G」で記譜しています

 歌い方、ギターの弾き方…まさに山崎まさよしの世界ですよね!
特にAメロの「君のせいだよ」「ばかりなのに」に入る部分はベース音の下降ラインが気持ち良い
実は原曲も一時はそうしようかと迷った部分ですが、コードはシンプルに「C・・・」「C/D・D7・」の流れにしたのでした
けれどバックコーラスや演奏の和声を考慮すると厳密には「C・・G/C」「C/D・D7・」です
ちなみに「C/D」は「ConD」(ベースがDの音)、「G/C」は「GonC」(ベースがCの音)の意味です

 サビの唄い方はキムタクと同じ音程ですね。「I will give you all〜」の「all」が1音高い。

 さて、コードで原曲と明らかに違う部分があります
「なぜかやさしい」のところ
ハイスタと同じ、いきなりサブドミマイナー、譜面のコードCm(四角枠)になってます
これはハイスタを聴いてそう思ったのか…山崎まさよし本人に訊いてみなけりゃ分かりません
彼は以前ビートルズの曲をポールの眼の前で弾いた時にコードが一箇所違っていてポールに指摘されたことがあった
ちょっぴり日本人のビートルズファンとして恥ずかしかった
以来、山崎まさよしは意外とオッチョコチョイな性格だと思うようになりました(笑;)

第2弾 Hi STANDARD(ハイスタンダード)


    :ハイスタ  :原曲  ハイスタのキー「A」で記譜しています

 ぼ〜っと聴いてると気がつきませんが、まずは「はじめての〜」の「の」に当たる音、英語では「kiss」の音が違っています
実はコードを考えると原曲の音のほうに若干無理があるのです(汗;)、
 サビに入る時の「はじめての」の「ての」(相対音階でいうと「ミミレドミ」の「ドミ」)という音はたいへん日本的な音なのです。
ここはコードが無い場所、ノンコード(昔はBreakと言ってました。Taccetとも言います)と解釈できる場所ですが、
一瞬ドミナントセブンスコード(本キーAではE7、原曲キーEではB7です)でBreakしているのですが、もし
小節いっぱいにバックで流れていたら、原曲の音は唄いにくいですよね。それは、

 「て」と「の」の音(英語では「first」「 kiss」の部分)がコードに無い「主音」と「第3音」が連続しているからです。
そうですハイスタはそこで「主音」と「第2音」で唄っています。
「ミミレドミ」ではなく「ミミレドレ」と唄っているのです。

 これは旋律的にはコードに含まれない音の次に出て来る音はそのコードに含まれる音を持って来るほうが自然なので
ハイスタの唄い方の方が音楽的と言えるし、自然にそうなったのだと思います。
のちにガガガSpecial他多くの英語バージョはハイスタに追随してますね。

 さてさて、ハイスタはサビの途中でも音を変えています。
キムタクともまた違う音です。「I will give you all〜」の「you」を1音上げていますね。
ロックっぽくシャウトするとついつい上げたくなるものですね(笑;)。
 これは次に出て来る「Why is it I feel this」の「it I feel」(日本語では「なぜかやさしい」の「やさしい」の部分)
相対音階でいうと「ミソドレドラb…」の「ドレド…」と似ている旋律になります。
作者としては、まず「I will give you all my love」を日本的で優しい旋律、そして次の「なぜかやさしい」は劇場型フレーズ
この二つの部分の違いを明白にしたいという本能(笑;)が働き、原曲のメロディになったのですが、
ロックののりではいきなり劇場型に、そう、ハイスタのメロディもありかと思います。

 ただ「なぜか〜」部分でサブドミナント(譜面のコードD=青色)のところをいきなりサブドミマイナー(譜面のコードDm=赤色)になってます
これは意図的なのか、コピーを間違えたのか、本人達に訊いてないので分かりませんが、上記のように
「Give you all my love」が「it I fell this…」と似た旋律になってしまったので、コードをいきなりサブドミマイナーにしたほうが
変化を劇的に感じられますね。それももしかすると感覚、本能(笑;)の成せる技かもです。
 なお、ジャズのラスマス・フェイバー(もちろん英語)もハイスタのメロを真似してますが、少し違ってます(笑;)(後日解説)

第1弾 キムタク(木村拓哉)


    :木村拓哉  :原曲  キムタクはキー「F」で唄っていますが、譜面は原曲のキー「E」になっています 

(smapの1995年ライブツアー)
キムタクバージョン。たった一つの音の違い("all"の部分)ですが、
かなり、趣(おもむき)が変わります、分かりますか?
彼が唄った音のほうがモダンな感じと言えます。
(もしかすると、彼の単なる覚え間違いかも知れませんが…笑;)
当時のSMAPのコンサートでは会場の全員が一緒に唄っていたようですが、
ファンのみなさんはどちらの音で唄ったのでしょうか…。

 原曲のほうは、やや日本的な旋律と言えます。しかし、
原作者としての僕は、あえて、ある種の、せつなさを狙った音なのでした(笑;)。
余談ですが、香取慎吾も
「笑っていいとも」でウクレレによる「はじチュウ」を唄ったことがありますが
その時は原曲通りでした。
木村拓哉はカッコよく、香取慎吾はハートフル、という感じですかね。
smap解散後は二人は「はじチュウ」を唄うことがあるでしょうか…。

 さて、数年前(2013)に「スマスマ」でキムタクと僕がデュエットしました。
その時はどうだったでしょう…
実は音合わせの時に彼はすんなり原曲通りに唄ったのでびっくり。
間違いに気が付いたのか、始めから分かっていたのか推察出来ず、
あえてそのことには触れなかったのですが、
smapツアーでの「はじチュウ」はキーが『F』だったので、
「あの時よくFで唄えたね、高いのに!」と言ったら彼は恐縮してました
Fのほうがギターが弾き易い部分がありますが…(原曲はもちろん「E」)。
とにもかくにも、紳士的でスマートな木村君、
いち早く(恐らくプロアーティストでは最初に)カバーしてくれたことに感謝です!!






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